コミュニケーション

電子メールの返信で、自分が評価されているかどうか分かる!

投稿日:2017年11月26日 更新日:

【はじめに】

今まで過去2エントリーにわたり、「年賀状が届くかどうかで自分が評価されているかどうか分かる」・「LINEの返事がすぐに来るかどうかで自分が評価されているかどうか分かる」という検討を行なってきました。今回は、その第三弾、電子メール編です。

それがパソコンの電子メールであれ携帯メールであれ、メールの最大の利点は、LINE同様「電話と違い、すぐに返事をしなくて良い」点です。電話では、自分がどんなに忙しくても、それがたとえ大した用件ではなくとも最優先での対応が求められます。電子メールはその問題を解決できる切り札です。とりあえず目先の案件を片付け、時間ができたときにまとめて用件に対処できます(野口悠紀雄:「『超』整理法」、講談社、1992年ほか)。

LINE同様、電子メール、特に携帯メールを使えば「自分は相手にどう評価されているか」が驚くほど良く分かります。そこで、本エントリーでも「自分を評価してくれている人との付き合いに、限られたリソースを振り向けよう」という提案を行ないたいと思います。

「リソース」と言うと難しく感じるかたがいらっしゃるでしょう。本稿では、「リソース」とは「時間」と「労力」を指すこととします。当エントリーの理解を深めるため、まだ読まれていないかたは「自分は評価されているか? 悪魔のツール、LINE」を読んだ上で以下の論考に目を通して下さい。

携帯メールとPCの電子メールの特性

今やEメール(電子メール)は生活に欠かせないものとなり、電話による口頭連絡は少なくなりました。こうなると、電子メールによるコミュニケーションに即した「作法」・「流儀」が必要です。以下、携帯メールについて詳しく説明しましょう。

まず第一に、携帯電話にメールが届くと着信音が鳴る設定にしている人がほとんどでしょう。ですから、少なくとも「誰かからメールが来たな」ぐらいは分かります。さらに、特にスマホ(スマートフォン)では、メールが届いたら画面に「誰それさんからメールが届きましたよ」というメッセージが、メールの出だしの10数文字と共に表示されます。少なくともdocomo版のiPhoneならそうです。したがって、「誰から」・「どんな内容の」メールが届いたかは分かるはずです。

第二に、携帯電話に届いたメールには、電車での移動中など、細切れの時間に返信することもできます。ですから、パソコンを持っている人に対してであっても、それが重要度が高い、早く目に止まらせたい、あるいは早く返事が欲しいメールであればあるほど携帯宛にメールを打つ機会が増えるでしょう。携帯で長文メールを書くのは難しいですから、メールはごく短いものになるはずです。

他方、パソコンの電子メールには長文が増えるはず。込み入った内容のメールもあることでしょう。相手は外出せずに一日中家にいてパソコンに向かっているわけではないでしょうから、携帯メールよりは緊急度が下がります。携帯のメールとパソコンのメールでは、こう言った住み分け・役割分担ができると思います。

ただ、LINEの問題点について考察した、「自分は評価されているか? 悪魔のツール、LINE」でも述べたことですが、電子メールでも「すぐに返事をしないでいいや」という心理がはたらくことは問題です。一通のメールの処理に要する時間を考えると、「今は電話連絡や書類作成で忙しいからメールへの対応は後回しにして、時間ができたときに返事を書こう」、と対応が遅れがちです。これは、後日改めて「電子メールとFAXにおける問題点」(仮題)というエントリーに起こすつもりです。

その場で返答をせざるを得ない電話とは異なり、LINEと同じく電子メールでも、メールの受け手は「相手方が自分にとって重要な人物かどうか」・「迅速な対応をするに足る、重要な案件かどうか」をドライに判断した上でメールを処理する優先順位を決めています。そこで、メールへの返事が遅れる理由を以下で考察したいと思います。

メールへの返事が遅れる、よくある理由

それがPC宛のメールであれ、携帯電話宛に打った電子メールであれ、返事がなかなか届かない原因はいくつもあります。以下、検討してみましょう。

  1. 忙しくてメールを書く余裕がない。
  2. 込み入った内容のメールのため、返信に時間を取られている。

などは、すぐに思い付きます。(1)はもっとも善意ある解釈ですが、一日のうち、メールチェックに割く時間すらない人は稀でしょう。電子メールによるコミュニケーションが中心の人は、「忙しい」とは言いつつも、しっかり新着メールの確認と返信を行なっています。メールなしには一歩もことが進まないからです。

しかしながら、ここで一通のメールに割く時間はどれぐらいかを考えてみましょう。私の場合、「相手に対して失礼がなく」、「言いたいことは漏らさず書き」、かつ「余計なことは一切書かない」メールを打とうとすると、たとえそれが単なる事務連絡であれ、どうしても一通あたり平均で20分ぐらいかかってしまいます。返信を要するメールは一日に4〜5通なので、メールの処理に最大100分かかる計算となります。「そんなにかかるのか」とお思いでしょうか? 私にとって、日々の生活のなか、これだけの時間を捻出するのは難しいと言わざるを得ません。

さて、話を戻します。(2)は説明不要でしょうから飛ばします。

他には以下の理由が考えられます。

  1. 大量の受信メールに埋もれている。
  2. 携帯電話が壊れた/携帯を紛失した、あるいはPCが壊れた。
  3. 「返事が欲しい」という明確なメッセージを相手に伝えていない。
  4. 「重要人物からのメールではない」と相手に判断されている。
  5. 「大した用事ではない」と思われている。

続いて(3)について以下で考えましょう。

私の場合、Spamメール(迷惑メール)も含めると、一日の受信メールは70通は下りません。これだけメールが届くと、どうしても未読メールが発生します。

70通を超える新着メールの中から、返事が必要なメールを見つけ出すのは本当に骨が折れます。Spamフィルターが強力なGmailに徐々に移行しつつありますが、この点は別エントリーで扱おうと思います。

次に、(4)の、相手の携帯電話が故障した/携帯を紛失した、あるいはPCが故障した可能性を検討しましょう。まずは携帯電話についてです。

いつでもどこででも通話できる携帯電話で連絡を取るのが一般化し、NTTの固定電話を使う人は稀となった現在にあっては、携帯が使えなくなると窮地に陥り早急な対応を迫られます。

携帯が壊れた、あるいは紛失した場合、新しい携帯電話を手に入れるのにどのぐらい時間がかかるでしょうか? 仕事などで、すぐに携帯ショップに飛んでいくことができない事情も考慮すると、私は長くても一週間だと思います。

対して、パソコンが壊れた場合は大掛かりな修理または買い替えが必要です。これにはもっと時間を要するかもしれません。それでも、よほどのことがない限り、送ったメールに一週間以上返事がないということはまずないと考えています。

電子メールだから起こること

続いて(5)について。LINE同様、電子メールには電話と違い、「終わりが分かりにくい」という問題点があります。電話なら、「じゃぁ、用件は済んだから切るね」と一連のやりとりを終わりにできます。メールにはそれがないため、「この話題は終わった」と捉えるのに相手と自分では差があります。つまり、「あなたからの返事が欲しい」という意思表示が相手に伝わらず、「要件終了」と思われて返事がこないケースが考えられます。このため、「まだ話が終わっていない」という明確なメッセージを相手に発する必要があります。具体的には、質問であれば「〜について教えて欲しい」などとハッキリ書きましょう。それでも返事がこないなら、それは当エントリーで扱う範囲を超えた問題です。

電子メールの効能

ここで少し話を巻き戻し、電子メールの効能について考えてみましょう。事務連絡の場合、それが初めてコンタクトを取る人宛のEメールの作成で特に言えることですが、メールでは相手方に不快感を与えないように細心の注意を払う必要があります。このため、メールの冒頭に時候の挨拶を書かなければならないとか、メールの最後に「末筆ながら、御社の益々のご発展をお祈り申し上げます」などと書かざるを得ないケースがあるかもしれません。

ここで重要なのは、メールの冒頭と文末の定型文は使い回しが利くため、メールを書けば書くほど一通のメールを書くのに要する時間的コストが安くなるという点です。また、特に同業他社へのメールでは、メールの本文にしても定型化できる部分が増えてくることでしょう。学校の同窓会に関するやり取りなどでも同じです。メールでのやり取りが増えるにつれ、時間当たりの生産性が高まり、時間的コスト(手間)は限りなくゼロに近付くのです。

さらには、電子メールの送受信に使うメールソフト(Microsoft OutlookやMozilla Thunderbirdなど)では、メールの最後に書くシグネチャー(署名)を事前に登録することができることを覚えておきましょう。ビジネスで使うメールなら、ここに[住所]・[会社名]・[部署名]・[氏名]・[電話番号]・[電子メールアドレス]などを登録しておき、自分が打つメールには、それが新規メールであれ誰かからのメールへの返信であれ、シグネチャーを自動的に挿入する設定にすることができます。「たったこれだけ?」と思われるかもしれませんが、毎回毎回、いちいち署名を手作業で打つより一分近く時間を節約できるでしょう。一通あたりの時間の節約効果は微々たるものでも、一日に10通も20通もメールを書く人なら、この効果はバカになりません。

あなたは評価されていないかもしれない

このエントリーで強調したいのは最後の(6)と(7)の二つ、つまり、電子メールにあっては「ヤツからのメールは緊急性がなく、内容もない。大した用事じゃないようだから後回しでいいや」と相手に判断されるリスクがある点です。重要な人物だと相手に評価されるためには、相手にとりとめのないメールばかり打たないよう心がける必要があるでしょう。さらには、「重要な要件かどうか」を判断するのは、あなたではなく相手方だということに留意しましょう。大した用事ではないと思われないためには簡にして要を得た、かつ、重要だと思われるようなメールを書くよう、日頃からアウトプットの質を高める取り組みが必要です。

アウトプットの質を高めるには文書を数多く書くだけでなく、インプットの質と量にも気を配る必要があります。質の高い文章を数多く読む機会を増やすよう心掛けましょう。読む素材は何でも良いですが、個人的には岩波文庫と新潮文庫に入っている著作を読まれることをお勧めします。

一日は24時間しかありません。その限られた時間のなかでメールの送受信をするのですから、上で述べた通り、人は誰しもメールごとに優先度のランク付けを行ない、緊急度が高いメール・重要なメール・重要な人物からのメールから先に処理します。この裏返しで、ランキングが低いメールへの対処は遅れがちになります。これは当たり前のことで、ここで今さら強調するまでもありません。重要度が低く急ぎでない、かつ、どうでも良い人物からのメールだと相手に思われたら悲惨です。

このように、メールの返事が遅れるということは相手を評価していないというサインだと私は考えているため、私自身、よほどのことがない限りメールの到着より12時間以内、遅くとも24時間以内に返事を書いています。それ以上返信が遅れそうな場合、とりあえず「少し時間が欲しい」などと断りのメールを送ります。「自分がやられて嫌なことは相手にもやらない」ということを実践しているわけです。

自分を評価してくれる人との付き合いに集中しよう

他者が自分を評価していないと分かった場合、どう対処すれば良いのでしょう?

既に触れた通り、ある人に自分が送ったメールへの返事が毎回遅い場合、あるいは返事そのものがない場合は相手との付き合いかたを見直すべきでしょう。「アナタヲ評価シテイマセン」というメッセージを送ってくる人物と交際を続けるべきでしょうか? 私はそれはエネルギーの無駄だと思います。そんな人に割くリソース、つまり時間と労力があるなら、自分を評価し、大事に思ってくれる人との付き合いに注力しましょう。


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